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このアンケートで明らかにしたいこと

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仕事、家計、健康、家族のことなどを知る

このアンケートの第1の目的は、日本に住む方々の暮らしの多様性にかんする経験や考えを明らかにするために、仕事・職場、家計、心身の健康、性にかかわること、家族のこと、周りとの関係などを広くたずね、これらのことがらが、たがいにどう関連しあっているかを、学術的見地から分析することです。

今回のアンケートでは、それら生活全般の中で、「性のあり方」に比重を置いている点が特徴です。全国の生活実態を調査するためのアンケートは、今までもさまざまな形でおこなわれてきましたが、その中で「性」にかんする項目を複数盛り込み、そして詳細にたずねたものはありませんでした。

「性」にかんする考えや行動・状況が、ほかの全般的な生活に影響があるのか、もしくはないのか、あるとしたら何がどのように関係しているのかを明らかにすることが今までにない新しい視点です。

いわゆる「日本人」だけではない、
外国につながる人の状況を知る

このアンケートで想定している対象者は、いわゆる「日本人」とされる方々、つまり日本で生まれ育ち、日本国籍を持つ方々だけではありません。

外国から日本に来て留学、就職、定住している方々やその家族、あるいは生まれ育った場所と国籍とが異なっている方々のように、日本で暮らす全ての方々を対象にしています。多様な方々の生活の状況を多角的にたずねることで、その背景や来歴が現在の生活状況や行動、または考えに何らかの影響を与えているのか、いるとしたらどのような関連性があるのかを、性にかんする項目を中心に明らかにすることも、このアンケートの目的に含まれています。

性的マイノリティ(LGBTなど)の人の
共通点とちがう点を明らかにする

このアンケートでは、性のあり方についてさまざまな質問をしています。そのため、回答によってその人が性的マイノリティ(LGBTなど)であるかどうかがわかる質問構成になっています。

しかし、決して回答者が性的マイノリティかどうかを興味本位で聞きたいわけではありません。性的マイノリティであるかどうかがわかる質問とともに、生活の全般的なことをたずねることによって、その生活の状況や行動、考えにいたるさまざまな特徴や現状、立場が見えてきます。

それが、性的マイノリティという性のあり方によるがゆえなのか、それとも別の要因によるものなのかを検証します。ステレオタイプ的な性的マイノリティのイメージにたいして、さまざまな人の多様な実際を把握するとともに、性的マイノリティに共通する背景や現状があるかどうかを探ることで、性的マイノリティの共通点とちがう点を見出すことが目標です。

性的マイノリティ(LGBTなど)でない人の
性の多様性を明らかにする

自身を性的マイノリティ(LGBTなど)でないと考える人は、全員が自分の性別に違和感を覚えたことが1度もなければ、同性に惹かれたこともまったくなかったのでしょうか。そもそも、「好きになる」「惹かれる」ことは何を具体的に意味しているのか、実はあいまいです。

性的マイノリティと、性的マイノリティでない人というのは、それを直接たずねる質問1つで線引きができるほど単純なものではないかもしれません。また、過去にどうであったか、現在どうであるかが一致していない、変化したなど、1人の中の性も多様である場合があります。

このアンケートでは、人の性のあり方は1つではなく、変わるかもしれないということを想定し、いろいろな視点でいくつも尋ねています。もし、それぞれの回答に不一致があったら、どうちがっているかも検証の対象となります。

それは性的マイノリティの多様性だけでなく、性的マイノリティでない人の性の多様性を明らかにする機会にもなりうると考えています。

性的マイノリティ(LGBTなど)は
どのくらいいるのか調べる

性的マイノリティ(LGBTなど)はどのくらいいるのでしょうか?
言えない人もたくさんいるから、どうせ正確に知ることなどできないという意見もあるかもしれませんが、このことを調査したものは、実際にあります。

これまで広告代理店の調査などで、性的マイノリティは全国のおよそ7-10%といった発表がなされています。

とはいえ、これまでは調査の方法が十分なものではありませんでしたので、その数値が確かなのかどうかよく分かっていません。そのような現状に対して、統計学などの学術的な知見を十分に踏まえた方法できちんと調査することは大切です。そうしてはじめて、実態を表すような性的マイノリティがおおよそどのくらいいるのかを把握することができるからです。

このアンケートでも、性的マイノリティがどのくらいいるのかを推計します。すでに行われた調査と比較して、どのくらいのちがいがあるかを含め、性的マイノリティの割合をより正確に反映できる一助になりたいと考えています。

性的マイノリティ(LGBTなど)への
行政の取り組みを検証する

近年、日本の各自治体において、性的マイノリティ(LGBTなど)に対するさまざまな施策が実施されてきましたが、その施策の認知度や効果の検証の方法は、たとえば啓発イベントに参加したり、相談窓口で把握したりといった、なんらかの形で「利用している」人向けが多いのが現状です。

また、パブリックコメントもありますが、これも声を届けたい人が中心になることが多く、限定的にならざるを得ません。このアンケートは、それらを利用していない人も含め、広く市民にたいして、これまでの、そしてこれからの施策についてたずねる重要な機会だと考えています。

また、今回のアンケートで新しいニーズを把握したとき、それが性的マイノリティであるがゆえの困難なのか、それとも性的マイノリティ以外の人にも共通している困難なのかを明らかにし、国や各自治体に今後の施策の参考にしてもらう目的もあります。

普段みずから意見を言わない人の
回答結果も知る

最近では、パブリックコメントやSNSといった方法により、匿名で人から意見を直接聞いたり、他人の意見に触れたりする機会が増えました。
つまり、現状を把握したいだけなら、そのような手段を使ってたくさんの人の意見を集めることができます。しかしその場合だと、自発的に自分の意見を表明したい人の声が中心になります。

今回のアンケートでは、回答したい人を募集するのではなく、あえて無作為抽出、つまりくじ引きのような形で「当選した」人に答えてもらう方法を採用することで、普段みずから意見を言わない人も含めて意見や考え、実情を知ることが重要な目的です。

回答したい人を募集しておこなったアンケートと今回私たちが実施する調査でちがいがみられるのかどうか、もしみられるのであればどのような特徴がみられるのかを調べることによって、より正確に日本の現状を浮き彫りにしていきたいと考えています。